
利他的な行動(寄付、ボランティア、物の寄付など)は、心理学では「向社会的行動」と呼ばれ、多くの研究でウェルビーイング(幸福感や人生の満足度)の向上と関連することが報告されています。
この記事では、心理学の研究をもとに、利他の心がなぜ自分自身の幸福につながるのか、そして私がライフオーガナイザーとして実践している「物の循環」とあわせて紹介します。
この記事では以下のことが分かります。
- 利他的な行動(向社会的行動)とは何か
- 利他がウェルビーイングにつながる理由
- 片づけと寄付が心理的な満足感を高める理由
- 物を寄付できる具体的な支援先
「誰かのため」が、実は自分を支えてくれる。
「誰かのためを思っての行動は、自分自身の幸福感も高める」
調べてみると心理学では、寄付やボランティア、人を助ける行動のような「向社会的行動(Prosocial Behavior)」が、幸福感や人生の意味の実感につながることが数多く報告されています。
私は10年ちょっと、暮らしを整えるために片づけを手伝う仕事をしています。
その中で、不要になった物を「捨てる」選択をするよりも、寄付を選んだお客様の方が、どこか表情が晴れやかになったり、その後買い物行動が変化した場面を何度も見てきました。
私自身も同じです。物を手放す時に「捨てる」や「資源回収コーナー」にただ置いてくるよりも、物を厳選した上で送料や支援金である「1箱3,000円」を支払って、寄付する時の方が満足度が高いことに気が付いたからです。
「なぜだろう?」そう思ったことが、この行動を調べるきっかけでした。
「利他」とは何か?
利他とは、自分の利益だけではなく、他者の利益も考えて行動することです。
心理学では、このような行動を「向社会的行動(Prosocial Behavior)」と呼びます。
例えば、
- 寄付をする
- ボランティア活動に参加する
- 困っている人を助ける
- 献血をする
- 不要になった物を必要な人へ譲る
- 知識や経験を誰かに伝える
こうした行動は、相手のためだけではなく、自分自身にも良い影響を与えることが、多くの研究で報告されているのです。
利他的な行動がウェルビーイングにつながる理由
ウェルビーイングとは、「心身ともに満たされ、自分らしく生きられている状態」のことです。(←表現の仕方や定義は諸説あります)
私たちは「幸せ」について考える時、多くの場合自分自身の求めることを考えがちです。
もっと時間がほしい。
もっと収入があれば。
もっとやりたいことばかりができたら…。
もちろん、これらは幸福にとって大切な要素です。
同時にウェルビーイングを支える他の要素の一つが、「誰かとのつながり」や「社会に貢献している実感」です。
誰かの役に立てた。
必要としてもらえた。
社会の一員として関われた。
そんな感覚は、自分の存在意義や人生の意味を感じるきっかけになります。
つまり、利他は「誰かのため」だけではなく、自分自身の心も満たしてくれる行動なのです。
片づけで物を寄付すると、幸福感が高まるのはなぜ?
暮らしを整える時には、家の中で目にする度に「モヤっ」とか「イラっ」とする感情の動きをバロメーターにして、その原因を分析していきます。
物を手放す方が、自分の暮らし全般がもっと「うまくいきそうだ」(人によって、目指す方向は違いますが)という時には、物を手放す決断をした方が、長期的に見てプラスになると思います。
日本でも様々な手放し方が紹介されていますが、私は「使ってもらえる先に寄付をする」方法をおすすめしています。
今では、リサイクルショップに売る、資源回収拠点に持って行く、など様々な物を循環させる方法がありますが、それだけでなく「自分が大切にしているものを誰かそれを必要としている人に使ってもらえる」という「誰かの役に立てている」という実感を得られるのは「寄付」の特徴です。
ライフオーガナイザーとして仕事をしていると、「物を捨てることに罪悪感があります」という声をよく耳にします。
そんなとき私は、「手放す」と「捨てる」は同じではないと感じています。
まだ使える物を必要としている人へ届ける。
その選択肢があるだけで、片づけの受け取り方は少し変わるのではないでしょうか。
私自身は、まだ使える物は140サイズの段ボールに入れておいて、まとめてワールドギフトへ寄付しています。
そうすると後日、現地でその物が実際に使われている写真を送っていただくことがあります。

見返りを求めているのではないのですが、届いていることが確認できると「物は役目を終えたのではなく、新しい役目を見つけたんだ。」とか「この人たちの暮らしの役に立ってくれるといいな」と感じます。
元々は片づけは「捨てる」とか「物を減らす」作業の意味合いが多かったのかもしれませんが、物を循環させ、人と人をつなぐ営みでもあるのではないかと感じています。
物を次の人へつなぐ方法
- ワールドギフト
https://world--gift.com/
送れる物品の種類も多く、詳細情報を掲載(https://world--gift.com/buppin.html)してくれているので、迷わず送れる。
子どもが小さいとよくいただく、使い切れない新品の文房具やハンカチ・タオル、その他ランドセル、鞄、サイズアウトが早いので子供服などを送ることが多いです。 - 古着deワクチン
https://furugidevaccine.etsl.jp/
古着deワクチンは、ご不要になった衣類や靴・鞄・服飾雑貨を送ることで、世界の子どもにワクチンが贈れるサービスです。過去何度か使っていたのですが、寄付用の袋が大きくて「そんなに服がない…」と思って以来使用していませんでした。
が!今久しぶりにサイトを開いたところ、小さい袋も登場し誰にでも使いやすくなっていると思います。 - 地域のフードバンク
札幌市のフードバンク イコロさっぽろ
https://foodbank-ikorsapporo.themedia.jp/
お住まいの地域ごとに違うと思いますが、札幌市では「フードドライブ」といって、スーパーや店舗で指定の期間に食べ物を受け付けています。
https://www.city.sapporo.jp/seiso/gomi/genryo/fooddrive.html
「いただき物だけれど、うちではなかなか食べないのよね」という食品が、結局賞味/消費期限を過ぎてしまった状態で見つかる…というシーンは、キッチンの片づけをお手伝いしているとよくあります。
普段食べないジャンルのもの、アレルギーがあるもの、食べきれない量の物…これらはいただいてすぐに寄付してしまうのがおすすめです。
私も近隣のスーパーを利用しています。 - 地域のリユース団体・自治体やNPOの寄付プログラム
これも、様々な形態がありますので、寄付先が見える団体を選ぶことがおすすめです。
その他私が続けている、小さな「利他」
記事の始めにも、利他行動をいくつか書いたので「これなら私もしている!」という内容が見つかった方もいるのではないでしょうか。
物を手放す時の寄付以外にも、私は毎月クレジットカードから自動決済にして、いくつかの団体へ少額ですが寄付を続けています。
世界では、自然災害や紛争、貧困など、私一人ではどうにもできない出来事が起きていて、ニュースを見るたびに胸が痛くなる、けれど正直に言うと自分の稼いだお金を自分の快楽のためにどんどん使っているくせに、何もできない(していない)うしろめたさに目をそらしたくなってしまうことすらありました。
数年前から、何かがあった時の単発的な寄付ではなく、継続的に寄付をしはじめたことで「ほんの少しだけど、自分も社会の一部として関われている。」という思いと共に、今災害で大変な思いをされている方の無事と安心できる生活が訪れることを目をそらさず、静かに願えるようになりました。
私にとって寄付は、お金を渡すこと以上に「遠くにいる誰かの幸せを願う時間」でもあると感じていて、その気持ちが、不思議と自分自身の心まで穏やかにしてくれるのです。
例えばこんな寄付・支援先があります
子どもたちを支える
セーブ・ザ・チルドレン https://www.savechildren.or.jp/
あしなが育英会 https://www.ashinaga.org/
世界の困難に向き合う人を支える
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)https://www.japanforunhcr.org/
国境なき医師団 https://www.msf.or.jp/
ワールド・ビジョン https://www.worldvision.jp/index.html
幸せは、循環する
私はライフオーガナイザーとして、「人の暮らしを整えること」を仕事にしています。
でも、それは決して「自分のことだけを考える暮らし」「自分がよければそれでいい暮らし」ではないと思っています(もちろん、自分を我慢させて、人のために尽くしましょうということではないです)。
暮らしに余白ができ、心に余裕が生まれる。
その余裕が、家族へ伝わり、地域へ広がり、社会へ向かう。
そして、その優しさがまた自分に返ってくる。
そんな循環が生まれたら、とても豊かな社会になるのではないでしょうか。
利他とは、見方によって特別なこと、難しいことでもなく簡単に始めることができると思います。片づけながら、手放すことにした物を誰かに使ってもらう…それだけでも、意味があると思います。
少しだけ誰かを思って、小さな行動に変えてみること。
心理学では、利他的な行動は「相手のためになる行動」であると同時に、「自分自身のウェルビーイングを育てる行動」でもあることが示されています。
片づけも同じです。
手放した物が誰かの役に立つ。
その循環は、物だけでなく、人の心も豊かにしてくれるのだと思います。